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失って得るもの。『全盲先生 泣いて笑っていっぱい生きる』新井淑則 <自伝・自分史・その周辺27> 

日本で唯一の、盲導犬を連れた中学教師 新井淑則先生。
人生半ばで視力を失った彼が、失明の恐怖を克服し、そこから新たに生きなおした成長記録です。

埼玉県秩父の中学に勤める新井先生は、教師として脂ののりきった28歳の年に、網膜剥離で失明します。
文字通り、人生の真っ暗闇に迷い込んだ新井先生は、いま写真で見る穏やかな表情からは想像もできない、ひどい荒れ方をしたこともあったようです。

二人目の娘を出産したばかりの妻の肩には、家事、育児、夫の父母を含めた家族四人の生活、そして高額な医療費。すべての責任が覆いかぶさっていました。
産休明けも慌ただしく、中学教師に復職した彼女に、
「おまえは働けるからいいよな」
トゲのある言葉を投げ掛けてしまいます。

「このまま死ねばラクになる」
何度も死の誘惑に駆られた新井先生を、こちら側に引き止めたのは、自らも全盲でありながら、普通高校で教鞭を取る宮城道雄先生の熱心な説得でした。
「あなたならできる。がんばろうよ」
説得を繰り返し、復職への努力を促しました。
少しずつ、前向きな気持ちを取り戻した新井先生は、自立訓練に耐え、盲導犬を得て、行動範囲を広げ、盲学校の教師になります。
そして、2007年には、普通中学校の教師の辞令を受けます。
普通中学に復職できることは、念願がかなった喜びであるものの、そこには不安と心配もあります。

  できるはずと思い、いやできないのでは、と心が揺れます。
  心が揺れたら、逃げずに果敢に立ち向かうほうをぼくは選ばなくてはなりません。


身体的な障害(新井先生は「害」の字は使わず、「障がい」と表記します)によってもたらされた、ほとんど心の死の状態から、最後に示したこの決意。
赤ん坊から大人になる成長過程を、新井先生は二度体験したのだと思います。
希有な経験であり、何事にも代えられない人生です。

やんちゃで家出癖がある初代盲導犬クロードとの、細やかな心の交流も描かれています。
年老いて、引退が迫るころの先生と家族の悲しみ、手放さなければならない辛さは、いかばかりでしょう。

二代目盲導犬マーリンは、仕事熱心な優等生タイプ。でも、一日の仕事を終え、部屋に戻ると、

 「お仕事が終わったんだな」と思うと飛びついてきます。
 もの静かな優等生の盲導犬マーリンが、普通のワンちゃんに戻る瞬間です。


パートナーであり、愛犬でもあるという関係をラブラドールと結べることは、ちょっと羨ましい気もしました。



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マイケル・ジャクソン「THIS IS IT」見てきました。 

封切り当日、観てきました。

マイケル・ジャクソン「THIS IS IT」

ロンドン公演のリハーサル風景ですが、歌もダンスも完璧で、とてもリハーサルのレベルではありません。
この1週間後に亡くなったことが、いまでも信じられません。

これからご覧になる方もいらっしゃると思うので、多くを語るつもりはありません。
どんなにすごいアーティストだったのかは、ぜひご覧になって確認してください。

私が感動したのは、「最高のステージを創るのだ」というマイケルの志の高さです。
キング・オブ・ポップのマイケルですから、公演のリハーサルでは、キング・オブ・リハであり、ステージ進行、キュー出し、曲アレンジすべて自分の中でできあがっていて、的確な指示出しします。
でも、スタッフに、バックダンサーに、コーラスに、指示出しするときの態度が、高圧的なところがまったくなく、実にフレンドリーで、素敵でした。
自分の思いを伝え、相手の意見も聴き、でも自分で判断する。
自分よりはるかに年若いダンサーたちを、最高のステージを創るためのパートナーと遇している姿勢に心打たれました。

亡くなったことは残念ですが、最後の映像を残してくれたことには本当に感謝です。


この感動の中で、お伝えするのも恐縮ですが、
私のメルマガも、来る30日(金)、28号を発行します。
ご登録がまだな方は、ぜひ、こちらからご登録ください。

http://archive.mag2.com/0000289134/index.html

視覚が記憶を後押しする。 

脳に広げる記憶の地図、マインドマップには、発想を広げるという使い方のほかに、もう一つ、とっておきの使い方があります。

マインドマップを使って、ノートを作る。

マインドマップのノートは、地理、歴史のような社会科系、自然科学系のものにぴったりでしょう。
記憶しなければならないワードがたくさん出てきて、丸覚えしなければはじまらない。さらにそれらのワードを関連付けて覚えることが効果的。そういう教科ですね。

まず、今回記憶しなければならないテーマを決めます。
たとえば、「明治維新」。
たとえば、「第二次世界大戦」。
たとえば、「労働基準法」。
たとえば、「戦国武将」。

1.A4横の紙の中央に、テーマを書き込みます。
2.発想を広げるときと同じく、大項目となるような重要な四つのキーワードを抽出し、中央から広がる四つの枝に書き込みます。
3.続いてそれぞれの枝に、さらに関連した次のワードを書き入れていきます。
4.場合によっては枝分かれさせながら、記憶しなければならないワードを書き入れていきます。


記憶するためのマインドマップの書き方のミソは、できるだけカラフルに、あるときは文字のみでなくカラフルなイラストも入れてみること。
そうすることで、視覚的に記憶に残るマインドマップを作ることができます。
カラフルであるほど、画像として脳に受け入れられやすくなります。

テーマの中央からカラフルに枝分かれして、それぞれの枝にワードが並んでいれば、思いだすときに、「黄色の枝の3つ目に書いたワードはなんだったけ?」というふうに、文字を視覚の記憶に結びつけることができます。
視覚の記憶が文字の記憶を連れてきてくれるわけですね。
右脳と左脳とを両方使って思いだすわけですから、すごく心強い記憶ができあがるでしょう。

だらだらと書くだけ書いたノートでは、あらためて読み返そうしたとき、すべて読まないと必要なワードに行き着きません。
ところが、マインドマップなら、一枚の紙に必要なワードがすべて書かれていますから、読み返すまでもなく、思いだしたいワードがすぐ目に飛びこんできます。

マインドマップ記憶法は、学生さんだけでなく、大人でも資格試験や昇進試験を受けるために勉強している方には、大いに役立つはずです。

フレーズが、次から次へ思い浮かぶ。 

頭の中にもやもや存在しているフレーズを取りだして見る。
マインドマップ上に書き加えてみると、もやもやしていたものが実在するものとなります。
実在させられたフレーズは、さらに次のフレーズを引き出す力を持つということですね。

具体的に考えてみましょう。
テーマは、「中学時代のある年の夏休み」

その夏休みの記憶を、ちょっと思い浮かべてみてください。
最初に思いだすこと、四つ、あるいは六つを書き出してみてください。
友人と行った「自転車旅行」。
ぎりぎりまでできなかった「自由研究」。
一日も休まなかった「部活」。
どうにもならなかった「初恋」。


四つのキーフレーズが出そろったら、紙の中央に書かれた「夏休み」の文字から、四本の枝を伸ばします。その先に、「自転車旅行」「自由研究」「部活」「初恋」のキーフレーズを書きます。
そして、さらにその枝を枝分かれさせながら、「自転車旅行」で思いだすこと、「弁当」「パンク」「静岡のおばあちゃん」「ねんざ」「地図」「野宿」などを書いていきます。
そうやって、木が枝を伸ばして大きく育っていくように、フレーズを育てていくのです。

最初に書く四つのキーフレーズは、別の切り口にすることもできるかもしれません。
たとえば、夏休みにあった「楽しかったこと」「悲しかったこと」「怒ったこと」「うんざりしたこと」。
こんな感情の言葉を最初のキーフレーズに選ぶこともできるかもしれません。

要は、発想がどんどん広がって、大きく枝分かれしながらできるだけたくさんのフレーズを生み出してくれそうなキーフレーズを最初に選ぶといいのです。
設定したテーマが太い幹だと考えれば、そこから四本(あるいは六本)に分かれた最初の枝に勢いがあれば、その助けを得て、記憶の底に沈んでいたフレーズが次から次へと浮かんでくるのだと思います。

そうやってできあがるマインドマップは、放射状に広がる神経回路の形ですが、見方によっては、大きな樹が枝葉を伸ばすさまにも似ています。

最大の敵は、貧困。『弁護士、闘う 宇都宮健児の事件帖』宇都宮健児 <自伝・自分史・その周辺26> 

「医者と弁護士は、必ず一人ずつ友人にしろ」という持論を力説する知人がいました。
その弁護士の友人が、宇都宮氏だったら、どれほど心強いことでしょう。

弁護士法の第一条に次のように書かれているそうです。

「弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」

弁護士の使命は社会的弱者、経済的弱者の味方になり、その立場を代弁するものである、という実に明快な行動倫理をそのまま信条として実践してきたのが宇都宮健児弁護士です。
氏がそういう信条を持つに至ったのは、生まれ育った生い立ちなくしては考えられません。
国東半島の貧しい半農半漁の村に育った彼は、従兄弟や兄弟が中卒か高卒で学業を終わるところ、親戚が学資を出し合ってくれたおかげで、東大に入学します。
それを思うと、自分だけが出世コースを歩み、エリート官僚や銀行重役になっていいものか。自分の家は豊かになっても、村の人々が貧しいままでいいのか。

 人間の生き方として卑怯なのではないか。

こういうことをきっぱり言ってのける大人はすごいと思います。
学生時代、こういうことを言っていても、大人になって翻意する人はたくさんいます。
「若い頃は、青臭いこと言っていた」「世の中のきびしさがわかっていなかった」
「幼い正義感では食っていけない」
大人たちはいろいろなエクスキューズをします。
でも、やり続けた人には、エクスキューズは必要ありません。

宇都宮氏が闘う相手は、やくざ、取立て屋、マルチ商法、オウム真理教、サラ金、カード詐欺、悪徳弁護士、メガバンク。
経済的弱者の弱みにつけ込んで、そこからさらに甘い汁を吸い上げようとする連中です。
現在、もっとも時間を取って取り組んでいるのは、反貧困運動です。
自ら「反貧困ネットワーク」の代表として奔走し、年越し派遣村では名誉村長を務めています

 貧困の境遇に陥り、社会から孤立した人々は、自らの殻に閉じこもって悶々としています。
 暴走する若者もいます。彼らは自暴自棄になっており、人を傷つけることで苦境への道連れを得ようとします。親友をもたず、親からも見捨てられた彼らの孤独こそが、犯罪を生む一つの温床になっているのです。


反貧困ネットワークは、孤立した人たちに連帯の場を提供し、彼らを疑似家族として支えるものなのだそうです。
読み終わって、「微力ながら、自分もなにかしなければ」と、小さな志の芽を植えつけられる本でした。



脳に広げる記憶の地図、マインドマップ。 

テーマから連想したものをどんどん枝分かれさせて、放射状に広げていくマインドマップ。
私がマインドマップを好きな理由は、この放射状の広がりにあります。
このパターンって、どこかで見たことあるでしょう?
そうそう。ニューロンが突起を伸ばして、神経回路がつながり、「アハ!体験」が起きる瞬間。私が大好きな映像、↓これです。
http://www.youtube.com/watch?v=-52nmsVxIm8

マインドマップって、これに似ていると思いませんか?
マインドマップを書きながら、記憶の奥の方を探り、忘れていたキーワードを探す。思いだした瞬間、「あっ、これこれ!」という体験をします。
一つキーフレーズを思いつき、マインドマップに書き加えると、「いま、神経回路がつながって、電気信号が走ったかも」という気持ちになれるのです。

また、正式なマインドマップの書き方では、3色以上の色を使ってカラフルに仕上げることになっています。
これはちょっと面倒くさいのですが、カラフルに美しくすればするほど、脳を喜ばせることができて、深く記憶に残るという考え方なのですね。
つまり、ものを考えるとき、人は左脳を使うことが多いのですが、カラフルで美しい画像を見ることで、必然的に右脳も使うことになる。
左脳と右脳の両方を使って考えることは、互いの働きを補い合いながら、脳を非常に活性化させることになる、というのがマインドマップの特長でしょう。
ものごとを理詰めでしか考えられない人が、マインドマップを使いこなせるようになれば、右脳の働きもよくなるのではないかと思います。
そういえば、レオナルド・ダ・ヴィンチのノートには、マインドマップ的なメモがたくさん書いてあるそうです。
ダ・ヴィンチさんは、典型的な両脳使いですものね。

それと、カラフルなマインドマップをパターンとして脳にインプットしておけば、別の場所で別のことをしているとき、「マインドマップの、あの枝の先に、このフレーズを書き加えればいいな」と、ふと思いつくことができるのです。
自分史のネタ探しにも、マインドマップを大いに活用しましょう。

マインドマップの書き方には、細かいルールがあるのですが、きちんと方法を学びたい方には、創始者のトニー・ブザンが書いた超入門書をおすすめします。

キーワード探しに役立つ、マインドマップ。 

書きたいことを整理する段階で、人に話すことがとても有効だということをお伝えしました。
もし、話す相手がいないときは、書きたいことを録音機に録音して、聞いてみるとよいということをお伝えしたのが、前回までです。
書くという主観的な作業を、一旦手放してみて客観的に見つめ直すということが、文章を熟成させるときに必要なのだと思います。

熟成させる段階では、広がった発想をどんどんゴールに向かって収れんさせていきます。まとめの作業というわけですね。
しかし、書くためのネタを探す段階では、それとは逆に発想をどんどん広げていく作業が必要になります。
材料は多ければ多いほど、書く内容の選択肢が増えていきます。たくさんのキーワードがあれば、その中から取捨選択し、一番よい素材を取り揃えて文章を書くことができます。
書きだす前に、思いつく限りのネタと、それに関するキーワードを洗い出す。
これは、結構時間を食う作業になるかもしれません。
文章を書くためのネタ、つまりキーワードを探しだすとき、メモ用紙を前にして、ウンウンうなりながら言葉を捻り出すのがいままでのやり方でした。

その時間を大幅に短縮できて、しかも発想の幅を大きく広げられるのが、「マインドマップ」を使う方法です。
このやり方を使えば、書くことを思いつかなくて悩むということがなくなります。

マインドマップの書き方を簡単にいうと、A4の用紙を横に置き、その中心に、テーマのキーワードもしくはキービジュアルを書き入れます。
その中心からどんどん思いつくワードを書き込んで、枝分かれさせていきます。前のワードから連想された次のワードを枝に書き込んで、発想を放射状に広げていきます。

【マインドマップ】とは?
http://mindmap.jp/000093.html
詳しい内容は、こちらで見てください。

斜陽の真相。『明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子』太田治子 <自伝・自分史・その周辺25> 

太宰治と太田静子の婚外子として生まれた太田治子さん。
彼女が、母の文箱を開き、母が残したメモと大宰が書き送ってきた手紙に、数十年ぶりに日の目を見せます。
長く読むことを拒んでいたそれらの文書によって、『斜陽』という作品が書かれた謎を読み解いていきます。

 「小説と現実を一緒にするのはおかしい」という人がいる。しかし、大宰治は、小説を現実につなげて文学に殉じた小説家であった。小説と現実が同じものでなくてはいけないと念じていたのだと思う。

大宰のその信念によって、生まれてから大人になるまで、大変な迷惑を被ったのが太田治子さんなのでしょう。

お嬢様育ちの文学少女であった太田静子に、大宰が興味を持ったのは、彼女の境遇がチェーホフの『桜の園』のアーニャのようであり、彼女の母、「太田きささま」が、没落を受け入れられない帝政ロシアの貴婦人ラネーフスカヤのようだと直感したからでした。
『桜の園』のような小説を書きたいと思った大宰は、その参考資料にするために、静子に日記を書くことを勧めます。

それからの大宰と静子の関係は、愛のように見えて、実は静子の日記を手の入れたい大宰と、日記を切り札にして大宰の心をつなぎ止めたい静子のかけひきなのではないか。
そう疑わずにはおれない太田治子さんによる検証が、この本の骨子です。
もし、本当にかけひきの材料として生み出されたのであるなら、自分という存在はなんなのだろう。

はじめてのデートで静子に、「あなたは今日からひとりじゃない。僕の命をあずけます。だから責任が重くなるんだよ」
歯の浮くようなセリフを吐いた大宰には、そのとき妻子がいました。

 あなたの方の責任はどうなのですかと問いかけたくなるのである。

太田治子さんは、ときに呆れ、ときに怒りながら、大宰が小説『斜陽』を書くために、静子の日記を手に入れる首尾の一部始終を追います。
そして、その日記との交換条件で自分は生を得たという、認めざるを得ない事実に突き当たります。
「生まれてすみません」じゃなくて、「生んでしまってすみません」だろう。
赤の他人の私ですら、治子さんの代わりにツッコミたくなります。

しかし、治子さんは、自分が生まれた翌年に、母とは別の愛人とともに自殺した無責任な父を、文学に殉じた尊敬すべき作家として、最後には肯定する自分に気づきます。
太田治子さんの思いが「明るい方へ」向かっていることに、ひとまずホッとしました。

自分を犠牲にしても、弱者を守る。 

昨日見た「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、派遣切りの問題と取り組む弁護士・村田浩治さんという方が出演されていました。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/091013/index.html

職場で不利益を被る労働者の味方で闘い、裁判では十数年間負け続け、最近やっと司法の重い扉を開いて、労働者に有利な判断を勝ち取れるようになったとのこと。

彼が扱う裁判では、依頼者から高額の報酬を得ることはできません。
時間的にも、物質的にも自分を犠牲にする仕事です。

実は、いま、反貧困ネットワークの代表を務める弁護士・宇都宮健児さんの本を読んでいます。
その本でも思ったのですが、世の中の進路を良い方向に進めていくための推進力になるのは、「自分を犠牲にしても、正義のために闘う」意志を持った人なのだなあと思います。


あまり社会正義の役には立っておりませんが、
メルマガ「1日10分 1年で創る自分史」は、
10月16日午前中に発行します。
ご登録は、こちらから、どうぞ。
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録音素材から文章を完成させる。 

録音した内容で「よしッ!」となったら、今度はそれを文章に起す作業です。
一字一句をきっちり書き起こす必要はありません。
段落ごと(というか、ひと息ごと)のキーワードをメモしていきましょう。
そして、そのキーワードが入ったフレーズか、そのキーワードを表現したフレーズを順番に取り出します。
それは、できあがった文章にあなたが必ず入れたいと思うフレーズです。
そして、それだけを順番に読んでいっても、書いてあることがなんとなくわかるように並べてみてください。
1文ごとに、間を2,3行空けて書いてください。
飛び石のように置かれた文で、文章全体の思考の流れがわかればよいのです。
これが、これから仕上げる文章の枠組みです。

次は、文と文との空間を埋めていく作業です。
録音した内容をそのまま再現する必要はありません。
飛び石の文がスムーズにつながるように、前の文を受けて、次の文に渡すように、文章を展開していってください。

こうして文章を書くのは、ゼロから書き進めるより気楽にスムーズにできるのではないかと思います。
なにしろ、並べられた飛び石で、進むべき道筋がしっかり作られていて、到着すべきゴールも目に見えているわけですから。
ただ、ひたすら空間を埋めていく作業に集中すれば、文章が書きあがるのです。

できあがったものは、録音したものとは少し違っているかもしれませんが、それでまったくかまいません。
心の中のものを録音することで一度外に向けて手放し、書くことでまた自分の内側に取り込む作業を完成させるわけです。
頭だけで作りあげた文章よりも客観性のある、説得力のある文章に仕上がっているはずです。

録音で、書きたいことを客観視する。 

前回、書きたいことを録音してみることを提案しましたが、「録音した内容をそのまま書き起こせ」という意味ではありません。
かつての文豪とかは、書生に口述筆記で書き起こさせて傑作を物した人がいたようですが、それはあくまでも文豪の話。
頭の中で考えたことをそのまま読むに足る文章にするのは、素人では無理でしょう。
ビジネス書のような本を、すさまじい勢いで出版している人たちには、ボイスレコーダーにどんどん吹き込んでいった内容をアシスタントに渡して、そのまま本にしてしまう人がいるようですが、これもかなり経験がものを言うと思います。

まして、録音素材を書き起こすことは、とんでもなく時間がかかります。
原稿用紙5枚分の文章を考えながらワープロで打つのは、ライティング回路がつながっている人なら40分から1時間くらいでできると思いますが、録音素材をそのまま書き起こそうと思ったらその5、6倍時間がかかるでしょう。
「1日10分」を提唱している以上、こんな時間がかかる作業は絶対におすすめしません。

では、なんのために録音するのでしょう。
録音することは、あくまでも、書こうとしている内容を客観視してみる手段なのです。
自分の声ですが、それをあらためて聞くことで、内容を客観的に評価できます。
とくに、文章としての構成を評価するのに役立ちます。

書き出しにインパクトがあるか。
その構成で、一番伝えたいことは伝わっているか。
論理の展開が破綻していないか。
結論はしっかり説得力を持っているか。


録音素材を聞き直して、それらを確認してください。

障害を強みに。『筆談ホステス』斉藤里恵 <自伝・自分史・その周辺25> 

聴覚障害を持ちながら、銀座の一流クラブで、売上トップのホステスになる。
金曜夜のドラマのような人生です。
そう書いてしまうと、予定調和のサクセスストーリーのように聞こえますが、巻頭から最後まで、里恵さんの、必死に生きようとする思いが伝わってきます。

この本は、聴覚障害と水商売という、多くの人が知らない二つの世界の扉を少しだけ開いて覗かせてくれます。

赤ん坊のときの病気で聴力を失った彼女には、音声としての言語の記憶がありません。
ご両親は、耳が聞こえないことによって、彼女がコンプレックスを持ったり、内向的になったりすることがないようにと考えたのでしょう。
ありとあらゆる習い事をさせます。
障害があることで、人に後ろ指を差されることがないようにという思いもあったのでしょう。
かなり厳しいしつけに反発した彼女は、不良の仲間に入り、高校生のときには「青森一の不良」という、不名誉な称号ももらいます。

彼女には、困ったときに人が手を差し伸べてくれる。放っておけない魅力があるのでしょう。
彼女を見守る人々に支えられて、天職であるホステスという仕事に出会います。

たくさんの習い事の中で、身に付いたものはあまりないとご本人は言いますが、そのうちの一つ、書道が、彼女の現在を支えています。

 筆談術のイロハのイは、相手を見極めて言葉を選ぶこと。じっくりと字を眼で読める筆談は、
余計に気を使わなければなりません。これは銀座のホステスの基本でもあるのです。


ときに、筆談はふつうの会話以上に心に響くこともある。
なるほど、その通りで、言葉による会話と比べれば、筆談ではどうやってもコミュニケーションの絶対量は少なくなってしまいます。
里恵さんは、手のひらサイズのメモ用紙に、万年筆を使って文字を書きますが、1枚の紙に30字くらいしか書けないでしょう。
その短い文に思いを込めて、お客を気持ちよくさせて、かつ強く自分を印象づけるというテクニックを使います。
聴覚がないから、「筆談」というユニークな方法で成功した里恵さんですが、耳が聞こえていたとしても、コミュニケーションの仕事で大成功したのだと思います。
もしかすると、天性のコピーライターではないでしょうか?

辛いのは幸せになる途中です。

台風18号が近づいています。 

非常に強い台風18号。
東京には明日やって来るようです。
九州、四国はもうすでに暴風域に入っているのですね。

最近、東京では、「直撃」といっていてもなんとなく逸れて通過することが多くて、
台風危機管理感が弱くなっていました。
でも、今回の18号は、本当に容赦ないようなので、
ベランダプランターその他、避難させないといけませんね。


日本列島、大変ですが、
メルマガ「1日10分 1年で創る自分史」は、
10月9日(金)発行します。

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いい話を録音してみる。 

心の中の思いを言葉にしてみることは、書く前に書く内容を整理する作業として、とても有効です。
でも、都合よく話を聞いてくれる相手がいない場合もありますね。
もしかすると、あなたがすごくシャイで、同僚や級友に、「小学校の遠足のときのことなんだけど、聞いてくれる?」ってどうしても話しだせないこともあるでしょう。
そういうことなら、無理することはありません。
話す相手がいないなら、録音機に向かって話してみましょう。
ラジカセでもボイスレコーダーでも、なんでもかまいません。
話したい内容をマイクに向かって話してみましょう。
とにかく、考えていることを口に出す。それが大切です。
実際に声に出して話してみることは、頭の中で考えた文章の組み立てを見直すことです。 考えていたときには大丈夫だと思っていた構成で、うまくまとめられないかもしれません。
5分間くらい録音したものを再生してみましょう。
あらためて聞いてみると、
「この言い方では正確ではないな」とか、「こういう言い方では誤解をされるな」とか、「ここのところ、きちんと説明しないと前後関係がわからないな」ということがわかるようになると思います。
つまり、この作業は、心の中にあることを一度、外に取り出して、第三者の目で、客観的に見直してみる作業になるわけですね。

自分に質問もしてみましょう。
自分で自分にする質問の内容は、他の人がしてくれる質問より意外性は少ないかもしれません。でも、その分、話が横道にそれたり、まったく違う話になったりする心配はありません。
自分への質問のしかた次第では、さらに内容を深めていくことができるかもしれません。


「話す」ことは、「放す」こと。 

「いい話」を人に話すことで、なぜ熟成させることができるのか、もう少し考えてみましょう。

「話す」という言葉の語源は、「放す(はなす)」だそうです。

心の内にあるものを手放す意味で、はなす→放す→話す
(話すは、日本の国字で「咄す」とも表します。文字通り、口から出すことですね)

つまり、あることを心の中で考えているだけなら、その考えは自分だけのもの。
でも、人に話すことで口から出せば、それはもう自分だけのものではない。
「放す」ことで自分を放れて、話した言葉が相手のものにもなるということだと思います。
その人と話を共有することになるわけですね。
話を聞いてくれる相手は、わからないことがあれば質問します。
もっと詳しく聞きたいと思ったら質問します。
質問されれば、それに答えなければなりません。
質問と答えのやりとりの中から、自分が話しはじめた話のどこに人が興味を持つのかがわかります。
そして、さらに話を興味深いものにはどうすればよいのかわかるようになります。

日本の代表的な話芸、落語。こうやって話が熟成されていくのって、落語が完成されていく過程と似ているかもしれません。
話し手である落語家は、一つの話を客に何度も話し、その反応によって受けたところをより掘り下げ、受けなかったところをさらに工夫しておもしろくしていくのでしょう。
話すことが「放す」行為であるからこそ、こういう熟成が可能なのだと思います。

「書く」ことではなかなかこの熟成を実感することができません。
「放す」行為と逆に、「書く」行為は思考が内へ、内へと向かっていく作業が大部分をしめているからでしょう。

「いいはなシーサー」終わった~! 

「いいはなシーサー」、先週をもって番組終わってしまいました。

ガーン!

勝手に利用させていただいていたオフィシャルサイトも、
トップページは、「2年間ありがとうございました」メッセージに変わっています。
もうすぐなくなってしまうかもしれませんが、
「いい話ファイル」には、このリンクから
http://www.tv-asahi.co.jp/e8743/contents/file/cur/

かろうじて行くことができます。
これもいつ消されてしまうかもしれないので、
まだ読んでいない方は、ぜひお目通しください。

こういう番組は続けてこそ価値があると思うのに、残念だなあ。
「新番組にすれば、とりあえず、視聴率は上がる」
そういう考え方は、もう、いまの時代に合っていないと思いますよ。
テレビ局のみなさん。
いい番組は、長く続けましょうよ。



戦争は、継続中。『半島へ、ふたたび』蓮池薫 <自伝・自分史・その周辺24> 

大学生のときに北朝鮮に拉致され、その地での生活を余儀なくされ、24年後に帰国できた蓮池薫さんの紀行文とエッセイです。
この人だから、書けること。この人にしか、書けないこと。
それを実感させられる本でした。

タイトルは「半島へ、ふたたび」。と、言っても、北朝鮮を再訪できるわけはありません。地続きではあり、彼の国と共通点もあるけれど、相違点の方が多い韓国の旅行記です。

いままで私には理解できていなかったことで、蓮池さんに言われてはじめて理解できたことがあります。

 北朝鮮の核開発問題や六カ国協議、南北間の対立ももとはといえば朝鮮戦争が終結していないことに端を発する。

朝鮮戦争は、「終戦」ではなく「休戦」であり、勃発後58年間、いまなお燻り続けているのだというのです。
戦時であるからこそ、北朝鮮の人々は、軍事予算が最優先される「先軍政治」を容認し、貧困生活に堪えているということのようです。
北朝鮮では、朝鮮戦争のことを「祖国解放戦争」と称し、その戦争の目的は「朝鮮半島全体からアメリカを追い出し、南半分の領土とそこに住む人々を解放する」ことだそうです。

そういうことなら、いままで意味がわからないと思っていた北朝鮮の行動パターンの意味が理解できます。こういう指摘は、蓮池さんだからこそ、私たち日本人に理解させられることでしょう。

この本の前半は、蓮池さんが韓国ソウルを訪れ、ソウルの交通事情、ソウルの人々の生活、ソウルの食糧事情などを観察し、それと共通していたり、相違していたりする北朝鮮での体験に思いを馳せます。
接写レンズを通して、彼方を望遠するような、複雑で、不思議な感覚を味わわせてくれる紀行文となっています。

後半は、24年前に拉致されたことで、覚えざるを得なかった言葉を用いて、日本で生きて行こうと決意し、翻訳家として自立するまでの経過が語られています。
現在の蓮池さんは、翻訳家の他に、大学の留学生支援の職員として働くことで、生活の糧を得ています。
そこには、留学生たちの切実な訴えが持ち込まれます。
バイト先での日本人客とのトラブルから、「日本人は外国人を馬鹿にしている」と訴える留学生に、個別の人の言動や態度を日本人全体の問題として捉えないこと。バイト先でのトラブルは、日本人対外国人の問題ではなく、客と従業員の問題であることを説きます。
彼らに冷静にそれを伝えられるのは、蓮池さんだからこそでしょう。
これからの人生を、国と国との偏見を、人と人レベルで解くことに努めることで体験を活かしていく蓮池さんを、陰ながら応援していきたいと思います。
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