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戦争は、継続中。『半島へ、ふたたび』蓮池薫 <自伝・自分史・その周辺24> 

大学生のときに北朝鮮に拉致され、その地での生活を余儀なくされ、24年後に帰国できた蓮池薫さんの紀行文とエッセイです。
この人だから、書けること。この人にしか、書けないこと。
それを実感させられる本でした。

タイトルは「半島へ、ふたたび」。と、言っても、北朝鮮を再訪できるわけはありません。地続きではあり、彼の国と共通点もあるけれど、相違点の方が多い韓国の旅行記です。

いままで私には理解できていなかったことで、蓮池さんに言われてはじめて理解できたことがあります。

 北朝鮮の核開発問題や六カ国協議、南北間の対立ももとはといえば朝鮮戦争が終結していないことに端を発する。

朝鮮戦争は、「終戦」ではなく「休戦」であり、勃発後58年間、いまなお燻り続けているのだというのです。
戦時であるからこそ、北朝鮮の人々は、軍事予算が最優先される「先軍政治」を容認し、貧困生活に堪えているということのようです。
北朝鮮では、朝鮮戦争のことを「祖国解放戦争」と称し、その戦争の目的は「朝鮮半島全体からアメリカを追い出し、南半分の領土とそこに住む人々を解放する」ことだそうです。

そういうことなら、いままで意味がわからないと思っていた北朝鮮の行動パターンの意味が理解できます。こういう指摘は、蓮池さんだからこそ、私たち日本人に理解させられることでしょう。

この本の前半は、蓮池さんが韓国ソウルを訪れ、ソウルの交通事情、ソウルの人々の生活、ソウルの食糧事情などを観察し、それと共通していたり、相違していたりする北朝鮮での体験に思いを馳せます。
接写レンズを通して、彼方を望遠するような、複雑で、不思議な感覚を味わわせてくれる紀行文となっています。

後半は、24年前に拉致されたことで、覚えざるを得なかった言葉を用いて、日本で生きて行こうと決意し、翻訳家として自立するまでの経過が語られています。
現在の蓮池さんは、翻訳家の他に、大学の留学生支援の職員として働くことで、生活の糧を得ています。
そこには、留学生たちの切実な訴えが持ち込まれます。
バイト先での日本人客とのトラブルから、「日本人は外国人を馬鹿にしている」と訴える留学生に、個別の人の言動や態度を日本人全体の問題として捉えないこと。バイト先でのトラブルは、日本人対外国人の問題ではなく、客と従業員の問題であることを説きます。
彼らに冷静にそれを伝えられるのは、蓮池さんだからこそでしょう。
これからの人生を、国と国との偏見を、人と人レベルで解くことに努めることで体験を活かしていく蓮池さんを、陰ながら応援していきたいと思います。

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はじめまして

映像制作をしています。
いつも拝見させて頂いてます。
コラボできればいいなと
思っています。

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