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ためらわない。行動する。『のぶカンタービレ!』辻井いつ子 <自伝・自分史・その周辺33> 

左右に大きくからだを揺らしながら、鍵盤を叩く伸行くんの姿を見ていると、この人は、本当にピアノを弾くことが楽しくて仕方ないのだなと思います。

今年、日本人としてはじめて、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井伸行くん。
若き天才として世界中を飛び回り活躍する彼に、最初からこの華やかなステージが用意されていたわけではありません。

全盲で生まれた息子。母いつ子さんは、絶望にくれていました。

 クリスマスの時期に街中で美しく飾られるクリスマスツリーを見ては、
 「この子は一生この美しさを見ることはできないんだ」と涙が止まらなくなり、お座りもハイハイも健常児よりも遅れがちな姿を見ては
 「この子は生まれてきて幸せなのだろうか」とすら思っていたのです。


でも、そんな伸行くんに音楽の才能があると気がついたとき、親子の果敢な挑戦がはじまりました。

 私たち親子に「ためらう」という選択肢はありません。
 目の前に現れたチャンスには必ず挑む。
 こうしたほうがいいと閃いたら即座に行動に移す。

その行動力で、一度も会ったことがないピアノ教師に電話で、頼み込みました。

 「うちの子は視覚障害を持っています。まだ一歳半にもなりませんが、ピアノを教えていただくわけにはいきませんでしょうか」


伸行くんの成長に合わせて最良の教師を選び指導を頼む。
他の楽器にも興味を持ちはじめた伸行くんにバイオリンのレッスンを受けさせる。
世界的指揮者佐渡裕氏に、私家版のデモテープを渡す。
国際経験がないまま、ポーランドで開催されるショパンコンクールに、最年少で出場する。

それら、すべての大胆な決断が、ピアニストとして自立した、現在の辻井伸行くんにつながっています。

この本は、伸行くんの成長の記録のなかに、ショパンコンクールに出場したときのドキュメントが挿入され、カットバックで進行します。
「ポーランド批評家賞」という賞を獲得した二年後に、もっとすごい賞を受賞することを私たちは知っているわけですが、それでも、いつ子さんと一緒に、審査結果にドキドキしました。

音楽家としての成功には心からの拍手を送ります。
それとともに先日、最近の伸行くんを取材したテレビ番組で、素の伸行くんも素敵だなあと思いました。

野原に咲いた一輪のタンポポのところに屈みこんで、花びらにそっと触れながら、「きれいだね」と呟きながら、満面の笑みをこぼした伸行くん。
美しさをちゃんと見ることができる青年に育っていました。



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