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家族を抱きしめる覚悟。『ビッグツリー』佐々木常夫 <自伝・自分史・その周辺43 

「私は仕事も家族も決してあきらめない」と副題が付いたこの本は、現在東レ経営研究所の社長を務める佐々木常夫氏の奮闘記です。
自閉症の長男、うつ病の妻を抱え、すさまじい責任を一身に背負いながら、家庭人として、職業人として、信じる生き方を貫きました。

心理学の「家族システム」という概念では、家族の構成員は相互に影響し合っていて、その中の一人がなんらかの問題を持つと、それが原因となって別の人に問題が起きると考えます。
そして、その問題がまた原因となって、新たな問題を引き起こします。

佐々木家の長男は自閉症。
しかし、夫の仕事は多忙を極め、単身赴任を余儀なくされる。
責任感の強い妻は、自閉症の長男との関係から、うつ病になってしまう。
その状況に、夫と長女が立ち向かう姿を見て、妻はますます自分の無力を思い知らされ、何度も自殺未遂を犯してしまう。

機能しなくなった家族システムは、どんどん悪循環に陥っていきます。
その悪循環を断ち切ったのは、家族が直面する困難に立ち向かうために、大きく根を張るビッグツリーとなる、佐々木氏の決意でした。

誰にでもできることではないでしょう。
でも、もしかすると、できるようになるかもしれない方法論を、佐々木氏は示唆しています。

 自分の家庭の事情を公表するというか、誰かに話すということは結構勇気のいることである。
やはり、少し恥ずかしい。
 何か自分に弱みがあるというか、会社に知れるとマイナスになるのではないかと考え、隠しておきたい気がするのだろう。
 私の場合、ある程度の人にオープンにしておかないと、何かあった時、とっさの電話が受けられずに不幸な結果になったらまずいと思ったのが、公表した動機である。


その通り、佐々木氏は家庭の苦境を上司である社長に率直に打ち明け、最大の味方を得ます。
また自分の部署では、就業時間内に効率的に仕事をし、長時間労働をなくすことを部下に徹底させます。

しかし、理解者を得る目的で、上司や部下に、家庭の事情を公表、カミングアウトするという当初の考え方は、のちに少し変わったと言います。

佐々木氏の体験談を聞いたたくさんの人が、「自分の家族もさまざまな障害を抱えている」と打ち明けました。
それまで会社に隠していたことを、次々とオープンにしてくれたのだそうです。

世の中に障害を抱える人とその家族は、思った以上に多いのだと知りました。
そして、障害を持っていても生きやすい、多様性を認め合う世の中にするために、「家庭の悩みを隠さないでよい社会」の実現が必要だと思うようになりました。

家族システムをうまく機能させるためには、職場も社会も、大きな家族だと考えればいいのかもしれません。
そんな世の中ならきっと、ビッグツリーも大きく枝葉を伸ばし、家族をやさしく覆うことができるはずです。



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