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すべての人と対等に。『インパラの朝』中村安希 <自伝・自分史・その周辺52> 

「郷に入れば郷に従え」ということわざがあります。「所変われば品変わる」とも言います。
世界の国には、それぞれの事情があり、私たちが生まれ育った国で培った常識や流儀は、外国ではまったく通用しないことがある。
私は、昔からそう考えてきました。

自分の常識を外国の人に押し付けてはならない。
彼らは、彼らの国の論理で生きているのだから。

多くはインドや中国で体験したことでした。
納得いかないこと、理解できないこと、共感できないことがあっても、
「それが、この国の常識なんだ」と、わかった振りをしました。
その納得できない原因となった人の考え方の誤りを正そうなどとは絶対に考えませんでした。

中村さんは、違います。
「あなたの考え方、やり方は間違っている」
それは、世界の常識にまったく通用しないという事実を、はっきり彼らに突きつけます。

タンザニアで、一人の青年と知り合いました。
彼は、宝石が取れる鉱山を一つ持っている。そこで取れた宝石を強欲な仲買商人に買いたたかれるために儲けが少ない。
直接、外国と日本と取引がしたいので、中村さんにビジネスパートナーになってほしいと訴えます。
自分は適任ではないので他の人を探せと断わりますが、彼は無理やり中村さんを鉱山の見学に連れていきます。
そして、鉱山を案内してくれた別の男にチップを払ってやってくれと、当然のように言う青年に、
中村さんは切れ、チップを払う理由がないと断わります。それに対する青年の答えは、

 「ここアフリカの社会では、お金持ちの外国人は現地人の僕たちにチップを払う文化があるんだ。
 だから君にも僕らの文化を学んでほしいと思っただけだ。
 僕らはビジネスパートナーとして、お互いの文化を学んでいこう。
 今回は君の文化に従い、チップは払わないことにしよう」

 「今あなたが話したことがどんなに悲しいことだかわかる?
 あなたは今、あなたたちと私の間に、あなた自身の手によって境界線を引いたのよ。
 アフリカ人と外国人。低賃金労働者とお金を持った雇用主。
 パートナーとしての関係や対等な立場を自ら手放し、あなたの地位を下げたのよ」


対等であるために、あえて厳しいことを言う。
あなたたちの常識は間違っているとはっきりと伝える。
中村さんの論理は、どんなときにも揺るぎません。

若い頃の、多くはない海外体験で、私は「郷に入れば郷に従え」というのが、
外国における柔軟なコミュニケーションのあり方だと思い込んでいました。
少々のお金で嫌な思いを避けられるのなら、それでもいいという選択をしました。
それは、彼らと自分の間に境界線を引き、彼らを貶める行為だったのだと、いまは思います。

彼女の行動には100パーセント肯定できない部分もあります。
読みながら、「それはないだろう」と突っ込みたくなるエピソードもたくさんあります。
でも、「世界中のすべての人と対等に付き合う」という基本姿勢は、とても清々しく感じられました。





自分史の本棚
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