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指で、世界を見る。『生きるって人とつながることだ!』福島智 <自伝・自分史・その周辺53> 

9歳で全盲になり、18歳で耳もまったく聞こえなくなった福島智先生は、
「指点字」という方法で人とコミュニケーションをとります。
指点字は、点字で使う6つの点を、人差指、中指、薬指の左右6本の指に置き換え、
その指にタッチして文字を表現するもので、福島先生のお母さんが考案しました。

福島智先生をはじめて知ったのは、NHKのTV番組「爆笑問題の爆問学問」でした。
バリアフリーの研究をする福島研究室を訪れた爆笑問題。
最初の挨拶で、太田光氏が
「はじめまして。私は木村拓哉です」
そう言ってボケました。
指点字通訳をしてくれる女性が、太田氏の言葉を伝えると、福島先生が、
「えーっ? あんたが木村拓哉ちゅうことはないやろ」
と、苦笑いしました。

見えない。聞こえない。福島先生は一度として木村拓哉をリアルに認知したことはありません。
でも、彼の中に、「木村拓哉とは、日本有数のオトコマエであり、カリスマであり、女性にもてもてである」
という情報がきちんと整理されているのにちがいありません。
思うに、太田光氏と握手した感触、身体から発せられる匂い、伝わる空気感など、
視覚聴覚以外の情報が、すべて、太田氏が木村拓哉ではないことを物語っていたのでしょう。
木村拓哉情報は、点字印刷物からは手に入りにくいと思うので、福島先生は指点字通訳の女性たちから得ているのでしょう。
学問とまったく関係ない情報を貪欲に収集するバイタリティに驚きました。

見えないのか、聞こえないのか、どちらか片方だけなら、人は人とコミュニケーションすることはできます。
でも、二つの障害を同時に持つと、自分から他者に働きかけることができなくなってしまうのです。
相手が自分に関心を持って、働きかけてくれることを待つしかない。
全盲ろうとなって間もない高校生のときの記憶を、福島先生はこんなふうに書いています。

 私はこの“世界”にいるけれど、本当は存在していない。
 周囲から私がここにいるように見えても、本当は私の実体はここにはないのだ。
 私自身が空間のすべてを覆い尽くしてしまうような、狭くて暗い“別の次元の世界”に吸い込まれているのだ。


健常の私には想像もつかない孤独な世界です。
そんなとき、誰かが指に触れてくれる。
指点字で話しかけてくれる。

 私の内部が、ぱっと明るくなった。私の世界に、“窓”が開いたのだ。窓の向こうに、この現実世界が広がっていた。

人とつながる瞬間です。
全盲ろうの世界、想像できないけど想像してみようと思いました。



自分史の本棚
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