スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

闘将の果てしない孤独。『オリバー・カーン自伝 ナンバーワン』<自伝・自分史・その周辺6> 

2002年の日韓共催ワールドカップ。
ブラジルとの決勝戦で、最後の最後に得点を許して、敗北。
茫然自失のまま数分間、ゴールポストを背に、へたり込んだオリバー・カーンの姿が、いまも目に浮かびます。
日韓ワールドカップの全試合を通じて、カーンの二つ目の失点が、この決勝ゴール。その1失点で、ドイツチームの優勝の夢は断たれました。

キャプテンでもあるゴールキーパーは、鬼神のようにゴールを守り続け、大会前、優勝候補に名が上がることがなかったドイツチームを、決勝の晴れ舞台に引っぱり上げました。
最大限の健闘。その上での失点は、相手チームから決勝点を奪えなかったフィールド・プレイヤーにも責があることは明白でした。
でも、ゴールポストに背を預けたまま、微動だにしないカーンに、言葉をかけるチームメイトは一人もいません。
監督やコーチのねぎらいの言葉も、きっぱりと拒絶する空気があたりに漂って、闘将オリバー・カーンの、深い闇のような孤独を感じずにはいられませんでした。

「オリバー・カーン自伝 ナンバーワン」では、試合で、練習で、家庭で、取材で、オリバー・カーンいかに孤独であるかが、繰り返し語られます。
職業としてのゴールキーパーは、孤独であり続けることではじめて、失点の恐怖と戦える意志を保つことができるのでしょう。


ゴールを守っていて、こんな孤独を感じることがある。
特に、相手に得点を許したときがそうだ。
チームメイトの10人は絶望し、怒り、いらいらとした様子でこちらを見る。
しかし、それはほんの短い間だ。彼らは陣地へ戻らなければならないので、すぐに背を向ける。
つまり、私は彼らの背中しか見えないということだ。
私がゴールネットからボールを取り出している間、仲間たちは私を残して去っていく。
背後にいる相手チームのサポーターは大喜びしながら雄叫びをあげ、ラッパを吹き鳴らし、口笛を吹く。

 そして、私はといえば完膚なきまでの「能なし」。
 鳥肌が立つほどだ。これ以上の孤独感を感じるときはない。



得点はフィールド・プレイヤーのもの。失点はゴールキーパーのもの。
痛みとして伝わる守護神の孤独を余すところなく伝えてくれる本でした。




コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://jibunworks.blog16.fc2.com/tb.php/31-d0ccdd42

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。