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青春を語り倒せ。『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ』加納明弘x加納健太<自伝・自分史・その周辺81> 

 肺がんで死にかけている
 団塊元東大全共闘頑固親父を
 団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の
 息子がとことん聞き倒す!

長い副題がついた対談です。
かつて活動家であった父に、息子が腹を割ったインタビューをする。
話の中心は、大学生時代の父が、学生運動をしながら、考えたこと、憤ったこと、嘆いたこと……。しつこいほど語り倒されます。
家族なんだから、「まあ、そのくらいでいいじゃん」という妥協がまったくないところが、なんとも小気味よい一冊になっています。

とにかく、しつこく微に入り細に入り書かれています。
歴史観の枠組みの中に、明弘氏が関わってきた自分史が実存体験としてマッピングされていることがわかります。

団塊世代である明弘氏の体験は、私が「子供の頃、ニュース映像で見たアレ」を、カメラグーッとズームアップしていって、すごい接写にして見せてくれる、そんな感じです。
この時代の活動家の青年たちの多くは、大企業に就職し、役職に就き、経済の担い手という役割を果たしながら、大学の四年間がなかったことのように、口をつぐんでいます。
それを思うと、明弘氏の自己開示、時代回顧は、私にとっては本当にありがたい非公式資料です。

「ある野心とその敗退」と題して、大学の1年下で、とんでもなく優秀だった在日韓国人L君のことを語っています。
L君の父上は、民団の有力者で経済力もある人でした。

 親父 L君は、韓国人として、堂々と韓国の外務省に就職しようと考えたの。
 韓国の外務省に就職して、韓国のキャリア外交官になって、在日韓国人出身の初の駐日韓国人大使になろうという野心を抱いたの。
 これは、俺、すごいことだと思うのね。
 息子 立派な野心だね。


L君は、東大を卒業し、ソウル大学の大学院を卒業し、将来を嘱望されていました。ところが、当時の朴政権と繋がりがあった父上が事業に失敗すると、手のひらを返したような扱いを受け、外務省の試験も受けさせてもらえませんでした。
そのとき、韓国本国の人に言われたのが、「おまえはパンチョッパリだから」という言葉です。
「チョッパリ」とは、豚の足のこと。足先が分かれた豚の足のように、下駄や足袋をはく日本人の蔑称だそうです。
「パン」は半分。

 親父 パンチョッパリは半分日本人って意味。つまり、韓国本国人から見た在日韓国人や、彼らと日本人との間に生まれたその子供たちに対する悪罵の言葉なわけだよ。
 「お前みたいなパンチョッパリに我が祖国の大切な外交をまかせられるはずがない」って、蔑まれたんだとL君は受けとめた。
 息子 差別なんだな。日本でも、韓国でも。

能力や才能と関係なく、国と国との間で翻弄される人間。
L君の憤りや無念をきちんと語ることができる友人がいることが、せめてもの救いであったと思います。

ところで、誰も語らなかったあの時代を語り倒して逝くはずだった明弘氏は、代替医療が功を奏して、いまだご健在の様子。
もっと語っていただきたいと思います。




自分史の本棚
http://booklog.jp/users/jibunworks

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