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残せるものは、なんだろう?『はなちゃんのみそ汁』安武信吾・千恵・はな <自伝・自分史・その周辺108> 

26歳の若さで、乳がんに罹った安武千恵さん。
手術後、出産は望めないと思っていましたが、妊娠。
再発の危険を侵しながら、はなちゃんを出産します。

つねに死と隣り合わせにある生活の中で、千恵さんは、
はなちゃんが赤ちゃんのうちから、自立させることを考えます。

 私がいなくなっても、料理ができる旦那なら、安心です。
 なぜなら、ご飯を作ることは、生きることと直結しているからです。
 ムスメにも、包丁を持たせ、家事を教えます。
 勉強は、二の次でいい。
 健康で、生きる力が身についていれば、将来どこに行っても、何をしても生きていける。

赤ちゃんなのに、幼児なのに、はなちゃんは、
千恵さんと信吾さんが、病気に、人生に屈することがないように、
神様に使わされた天使のような存在になります。

 ムスメは、3歳になったばかりの頃、お風呂の中で私の傷口をさわりながらこう言った。
「ママ~、おっぱいちょきんって切られたの?
 痛かった? おっぱい買ってあげるね」

小泉元首相の言葉を借りれば、「感動した!!!」なんだか、切なかった。

「ありがとう。よろしくね。おっぱいちょきんってならないように、しっかりご飯とおみそ汁を食べるんだよ」というのが精一杯だった。

 何が何でも生きんといかん


はなちゃんがいるから、がん治療にも生きることにも耐えられた千恵さんでしたが、
33歳。がんの再発、全身転移で息を引き取ります。

千恵さんを亡くした後の信吾さんは、喪失の痛みの中で、身動きが取れない状態でした。
千恵さんの遺影の前で、一升瓶を二日でからにするほど飲み、タバコも安定剤も手放せなくなっていました。

しかし、どんなに遅くまで飲んでいても、朝5時30分には起きて、はなちゃんを保育園に送り、職場へ向かう。

そんな生活を続けるある朝、

 はなは、つらそうに台所に立つぼくを見て、包丁を取り出した。
 はなは豆腐を小さな手のひらの上に乗せた。
 ゆっくり豆腐を切ると、ガスの火をつけ、カツオ出汁を張った行平鍋の中に入れた。
 手慣れた作業だった。

 
 いつものように、朝食の支度をしていると、ゴミ箱の中に開けたばかりのタバコが捨ててあった。
 朝ご飯を食べながら、はなに聞いた。
「パパのタバコが台所のゴミ箱の中に落ちていたんやけど」
「ああ、あれ。はなが捨てたよ」
「どうして捨てたの?」
「だって、タバコを吸ったら、がんになるって、ママが言ってたじゃん。
 吸わないって約束してたんじゃないの?
 パパががんになって死んじゃったら、はなは一人ぼっちになるんよ。
 パパは、はなが一人ぼっちになってもいいの」
 はなは涙声になっていた。

はなちゃんの決意から、親子の再生がはじまりました。

はなちゃんは、いま小学生のはなちゃんであると同時に、千恵さんに代わってお母さんでもある。

千恵さんが、命をかけてこの世に産み落とした、はなちゃんは、
のびのびと楽しく、今日も、みそ汁を作っています。



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26歳の若さで、乳がんに罹った安武千恵さん。手術後、出産は望めないと思っていましたが、妊娠。再発の危険を侵しながら、はなちゃんを出産します。つねに死と隣り合わせにある生活の中で、千恵さんは、はなちゃんが赤ちゃんのうちから、自立させることを考えます。 私...
  • [2012/06/12 12:10]
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